ひびにいる人たちを観察する

#10 saki ogawa

16:15/新宿ピカデリーで待ち合わせ。

ピカデリーの自動ドアは、夏の空と入道雲がプリントされていた。もしかしたら今が夏だから入道雲に見えただけで、1年中おんなじプリントかもしれない。何回目かの自動ドアが開いて、さっちゃんが現れる。ピカデリーからすぐ近く、地下にあるお店に続く階段を降りる。店内に流れる音楽は周りの人の話声が聞こえないくらいの大きさだ。少し声を張って、さっちゃんが、話す。

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うわ―、何がいいかな。ここのミートパイ、美味しいよ。わたし家で作業やってたから食べて来ちゃった。ベーグルサンドは食べたことないな、いいね、美味しそうだね。いつもはホットココアを飲むって決めてるんだけど、でも暑いな―、ちょっと、なんか、、、ここはお酒も飲めるんだった!あ、でもホットをアイスにも出来る、、、ラムミルクティーのアイスにしてみようかな。

ここ、店内の音も大きいし、まわりの話してる声とか聞こえない方が好きで、私は。疲れてるように見える?ほんと?昨日、人生で初めて人の結婚式に行って。人のっていうか、、、まあ人のだ、ふふふ。高校の、吹奏楽で仲良かったみんな、そのなかでも特に仲良かった子だったから、すごい、涙が出た。ほんと、すごい、帰ってきたらほんとに疲れてて、なんかもうすごい早い時間から寝ちゃったせいで、逆に夜に起きちゃった。朝4時くらいまで作業しちゃった―、それで多分、顔が、、、。目がパリパリしている。

飲み物にビスケットがついてるの!そういうところも好きなんだよね。

結婚式、すごい楽しかったし、、、全然知らない人からのビデオレターですごい泣いちゃってなんかもうよくわかんないことになっちゃった。挙式から参加したんだけど、やっぱ綺麗だったし、ほんとにいい式で。二次会はなかったよ。結婚式初心者だから、二次会もあったらくたくただったかも。ドレス、結婚式でしか着れないのすごい嫌だったから、、、昔っからずっと欲しかったブランドのワンピースがあって、わたしが大学卒業するときに出てた型で、紺色だったの。値段も結構して学生が買うには厳しかったのよ。で、今でも諦めきれなくてたまに探してて、そしたら、メルカリに、、、わたしが欲しかったやつと柄がちょっと違うんだけど、紺色で、同じ型が出てて!伊勢丹限定のやつが半額くらいであったから、それを意を決して買って。これから何かあったらそれしか着ないと思う、わたしは。なんか、普段にも着られそうなやつなの。卒業式はお母さんが成人式に着た振り袖を着て。でもほんとはそのタイミングでワンピースが欲しかった!ふふふ。

長州島のお葬式ってさ、すっごい賑やかなお葬式なの。1度、大学のゼミで2週間滞在していた時に遭遇したことがあって、紙で出来た、レプリカのお金、果物とか、ちっちゃい車を模してるものとかがいっぱい売っていて。お葬式で燃やす用のやつらしくて。だから一瞬、なんのお祭りかなって思って。そういう文化が発達するんだよね、島だと。家を模したものとか、iPhoneもあったと思う!あの世に送る用なんだね、あの世に行っても何も困らないね。

最近、口に出さないといけないなーと思うことも多くて。結構調子がいいタイプだから、、、嫌なこととかも、その人の気持ちを悪くしちゃうのすごい嫌で。なんか、適当にこう、言っちゃったりすることもある自分もいけないなと思って。ある意味でいったら、うーん、、、。

自分にとって必要な時期に必要な人と関わっている、っていうのが、わたしの人生で。転勤族だったっていうのもあって。友達、ずっと、もうわたしには一生の親友とか、、、昨日もね、友達の結婚式で幼稚園からの親友の子とかが来ていたんだけど、いないのよ私は。幼稚園の頃にすっごい仲良かった子はいるんだよ。だけど、ずっとその子がわたしを見てきてくれたかっていうと全然そんなことないし、わたしも彼女のことをもう知らないからさ。そう思うと、わたしの人生ってもう悲しいくらいに、なんか、必要な時に必要な人が、まわりに、集まった人が自分にとって大切な人だから、常々、大切な人とかって変わるんだな。それで別にいいと思うし。そう思うと、いろいろ、、、なんか、なんか、来るものは拒みたくないんだけど去るものは追いたくなくて。とはいえ、あんまりたくさんのものを大切にすることは出来ないタイプだから。大切な、関わっているものとも距離感を考える必要もあると思うし。たまに断捨離する人いるじゃん。人間断捨離とか。そこまで分かりやすく、そうやって拒むというか自分から切り離していくことはあんまり好きではないけど、でも、そういう必要もある時期なのかな、みたいな。断捨離気味の時はわたしもあるよ。でも自分がなんか弱いから、完全に切ることが出来ない、、、気持ちの面で、ちょっと距離を置いちゃうとかは、ある。

実は、ギャルい、友達が出来たから、、、バイト先とかでちょっと一緒になってた子で、わたしより明らかにギャルなのね。ネイルとか、どぅわ―ってしてて、マツエクとかばさーって感じの子で。2人で、マルキューに行ったの!ついに!セールの時期だったわけよ。わたしはとりあえずマルキューに行きたかったから、彼女が行くっていったから、ついていったの。で、地下から見てこ!ってなって、で、地下はもうやっぱりK-POPが流行ってるからその彼らのカフェとか、タピオカの、多分日本で初上陸のお店があったりね、賑わってたけどそこはあんまり見るところなかったから、じゃあ2階行こ、ってなって、、、彼女の買い物に付き合って、、、で、どんどん上に上がっていくに連れて、なんかかわいい服が売ってる気がする、と思って。それでついに、めちゃめちゃかわいい服が売ってて、え―!!ってなっちゃって、え、ちょっとやばい、しかも安い!みたいな、ちょっと試着していい?ってなって。いや、でもこれはギャル服だし落ち着こう、って。で、次のお店いったらまためっちゃかわいいのがあって、ちょっと待って!1回着てくるわ!って、、、買っちゃった。で、それが、このワンピース。ふふふ。着てきちゃった。でもギャル服ってわからなくない?一瞬。でも、マルキューだから。ほんとにかわいいと思う。だから冬もセール行こうね!って彼女となってて。わたし的にすごいキテる。めちゃめちゃ仕立てもよくて。髪も、2トーンくらい明るくして。現在進行形。なんでそういう時代過ごさなかったんだろう、なんでもっと高校生の時にミニスカ、ルーズソックスとか、もっと挑戦しなかったんだろう、バカ!と思って。でも今からでもラインストーンくらいはやってもいいかな、ってなってこのパンダの、このラインストーンを。これ、横浜の中華街で100円で買ったの。めっちゃ気に入ってるの。こういうところからちょっとずつ、、、。これを買ってから、その後、10年振りくらいに髪を染めた。マツエクは昔してたときもあったんだけど、、、改めてやり直した。服も、気張って着てる。ほんとにギャル注目。派手に生きてみたかった、っていう願望が今さらあるよね。お腹出す予定も、ちょっとある。でもまだ着れないんだよね、タイミングが。新大久保とかなら出せるかな。健康肌見せに憧れてるから。ギャル様々だね、今後も。開けた世界がある。

今日ね、というかわたしはね、女の子と遊ぶときはもうデートだと思ってて、今日はもうデートのつもりでいま1番おしゃれというか自分のなかで、すごい気合いいれてメイクとかしてきた。そういう謎のポテンシャルがあるんですよ、ふふふ。お母さんと出掛ける時さえも、デート!

いい景色の、記憶とか、そういうのは昔から頭に残ってるんだけど、細かい事象をするりと忘れてたりとかする。私、いつになったら楽しい人生送るのかなって今でも探してる、ふふふ。でも、今まで何歳の時がが1番楽しかったかって考えると、、、え―、でもそれでいったら今かもしれない!

そう、それでね。これ。わたしなりにね、渡す相手をイメージして作ったっていう、、、すごく気持ち悪いプレゼント。開けてみてください、、、リアクションに困ると思う、ちゃんと説明するから!

えーっとね、魔法の粉です!ふふ、唯一無二のものを作りたくて、、、あの、わたしなりにイメージして、ブレンドした粉。きも。ふふふ。ラメと、わたしが集めているスパンコールを配合してます。わたしの中で、緑とか青のイメージなの。ラメは見つけたら買い集めたりしてるの。キキララの袋も気に入ってるの。他で手に入らないものにしてやろう!って。負けず嫌いなところが出ちゃった。これは台湾で手にいれたリボンで、この袋は新宿の小道具屋さんみたいなところで結構前に手にいれたのを、持ってたもので。ワックス紙みたいな。このリボンも、ビビっときて、あ、もうここだわ。みたいな。勝手にいろいろビビっときてた。夜な夜な配合してた。ふふふ。よく見たらいろんな星が入ってるから。4種類は入ってると思う。人から見たらさ、無駄ってさ、思うかもだけど、、、やっぱり自分がこうやってビビっときて使う時があるから。がらくたじゃないんだ!って正当化して部屋がどんどんゴミ屋敷みたいになってく。キキララのジップロックに入ってるのも、ちょっと、重要!

今日はありがとね。これからまた人と会うんだ。最近仕事してるか待ち合わせしてるか、結構忙しいよ。

 

18:00/アルタ前で解散。

実はさっちゃんと私は、とあるオーディションで初めて出会った。オーディション終了後、会場の入口でスマホを見ていると突然さっちゃんに声を掛けられたのをよく覚えている。初対面の私たちは、駅前のドトールで30分だけお茶をして別れたのだった。それは「ひび」が出来るより前のことで、そういえば、その時私は「さっちゃん」ではなく「さきちゃん」と呼んでいたことを、思い出す。私はいつから「さっちゃん」と呼ぶようになったのだろう。さっちゃんは「さきちゃん」だった頃を覚えているだろうか。ちなみにドトールまでの道すがら、変なおじさんに絡まれて怖くて駅前まで2人で走ったこともついでに思い出してしまい、もやもやしながら、帰った。