ひびにいる人たちを観察する

#21 sumire sasaki

13:00/彩の国さいたま芸術劇場のベンチにて

ひびの集まりが終わり、すみれちゃんと座れそうな場所を探す。すみれちゃんが大きいマスクをしていたので風邪か尋ねると、新しく使ってみた化粧品の成分により皮膚がぽろぽろしていてメイクが出来なかったから、ということだった。「生まれ変わってる最中なんです〜」とすみれちゃんは言うけど、大丈夫なのだろうか。そして大丈夫だったら私も肌を生まれ変わらせたいからぜひ教えて欲しい。
派手な赤と黄色のうねうねした椅子に座って話すことにする。腰掛けてマスク越しに、すみれちゃんが、話す。

・・・・・・

髪は、伸ばしていたのを2ヶ月くらい前に切って、で、そっから1ヶ月くらい経ってまた切りました。ショートはメンテナンス大変ですよね。髪、オレンジとか金髪はやったんですよ。で、次はピンクにしたかったんですよ、でも結局やらなかった。普通に茶色にしちゃった。伸ばしていたんですけどいろんなカラーしすぎて、痛みがやばくって、もう伸ばせないと思って、切って。元々地毛が茶色なんですけど、、、なんか、白髪がやばいんですよ。ほっといたら、全部白髪になるかなって思うじゃないですか。でもならない。不思議。白髪の原因は普通に栄養不足だと思う。
初めて染めた時は金髪にしました。その後インナーカラーとかもやったりして。いろいろやってますね。

最近、習い事初めて。DTMやりたくて、DTMは、なんて言うんだろう、パソコンで、曲を作るみたいな。全部打ち込んで、パソコン上で切り貼りしたりして曲を作る、みたいなやつ。楽器とかもパソコンの中に入れてそれで曲をつくる。それをやりたくて。でもDTMをやるならギター弾けた方がいいらしくて、元々、音が入ってるんですよ、パソコンに。でもギターは、自分で弾かないと、範囲が、幅が限られちゃう。ギターはいろいろ音も変えれるし、だから自分で音を入れられた方がいい、弾けた方がいいから、だからギター、やりますか、みたいになって。で、ギターを今練習してます。

昨日引っ越ししました。いま、片付けの途中で。部屋探し、得意です。間取り見るの面白いですよね。引っ越し好きです。楽しい。だから持ち家、持ってもいいけど定住したくないです。転々としたい。引っ越し良いですよね。今まで住んでたのが大学の最寄りで、千葉だったんですよ。でも、もうちょっと都内よりでいいとこないかなーって調べてた。部屋選びは、なんだろうな。結構、感覚みたいな、ありますよね。私、こだわりの条件とかなくて。風呂トイレ別がいい人とかいるじゃないですか、絶対オートロックがいいとか、フローリングがいいとか、和室あって欲しいとか、そういうこだわりが無くて。なんとなくいいなと思うところが、いい、かもしんないです。何で自分が選んでるのかもよくわからないですけど、、。感覚。印象、そうかもしれないです。

お風呂って酸素薄くないですか?お風呂酸素薄すぎて長居できないから、湯船とかほぼほぼ使わないから、だから風呂トイレ別じゃなくていいんですよ。湯船浸かると疲れる、みたいなことを、本で読んで。だから、お風呂あがったときの倦怠感とか、あとすぐ寝れる、っていうのも疲れてるからだ、みたいな。本で読んで、やっぱり!みたいな。ふふふ。疲れたくないからやっぱりシャワーでいいなと思って。サウナとか絶対身体に悪いですよ。なんか、豆知識じゃないけど、そういうの面白いですよね。信じるとかじゃないけど、へーって。禿げるのって嫌じゃないですか。で、禿げ防止には運動がいいらしいんですよ。1番はやっぱ運動、みたいな。頭皮の、細胞を、細胞っていうか毛細血管的な、行き届かせる神経を活性化させることが重要で、それは運動とかしないと活性化されないから、だから運動した方がいいらしい、ふふふ、だから運動とかしないですけど禿げたくないから、それはちょっと運動したほうがいいかもしれない。髪の量は多いですけど、やっぱりいつかは禿げますから。気をつけないと。

運動、歩くくらいならいいけど、走るとなると厳しい。スポーツは、全然やってました、ふふ、習い事で水泳してて、部活でバドミントンしてて。バドミントンって、シャトルあるじゃないですか。めちゃくちゃ軽いんですよ、羽根だから、ボールとかと違って風に影響されるから、夏とかも窓閉め切り、カーテン閉め切りみたいな。
個人競技が好きで、水泳も個人競技なんですよ、割と。リレーはあるけど。リレーもでもまあ、泳ぐのは1人。中学校が部活に絶対入らなきゃいけなかったんですよ、水泳は習い事でしてるからやめて、じゃあバドミントンにしようって思って、個人競技だし、あと日焼けもしたくなかったし。文化部の選択はなかったですね。吹奏楽部と合唱部が全国でもかなり強い学校だったんですよ。音楽に力入れてる学校で。だけど吹奏楽とか合唱とかって団体競技ですから、やっぱりダメで。でもやるからにはちゃんと機能している部活がよかった。私の学校は、美術部とかパソコン部とか、英語研究部みたいなのは結構逃げ道。部活絶対だけど、そこに入部すればあんまり活動していないから実質やんなくてもいい、みたいな。だけど部活入るからにはやるか、って感じでした。

やる前に悩むことはあんまりなくって、やりたいことあったら、1回やってみるか〜ってなって、その結果、いろいろやることになっちゃって、時間が足りなくなる。
もうなんか、時間がない感じが、すごい、ずっとあって。焦りがやばすぎて。早くしなきゃ、みたいな。何者かになりたい、とかはないんですけど、何もないことに対する、漠然とした焦り的なものがずっとあって。それは別に最近じゃなくて、もうずっと、中学とか高校とかから。それでその何かのために、とりあえず始めてみる。やってみたい、ってどっから来るんだろう。ネット見るか、本読んでるかの時間が多くて、それでやりたいことが出てくるのかな、、、だから全然、続かなかった残骸みたいなのいっぱいありますよ。楽器とかは、続かなかった残骸いっぱいあるし、習い事とかも。
何事も、始めると、あまりにも自分がなりたいものまでの遠さを実感するというか、全然知らない時は、頑張ろう!みたいなのがあるのに、始めるとこれ一生無理!ってなることありませんか。誰かが思い付いてることを思い付いてる自分も嫌だし、みたいな。

特技みたいなのが、ずっと、何かしら欲しくていろいろやってるのかもしれない。専門家みたいな。趣味って言われたらあるけど、特技はない。

こういう機会がないと行く機会がないところに行こう、って母と2人で旅行に行ってきました。島根と、鳥取と、岡山。出雲大社も行きました。あれ、本当は参道みたいなところを街からずっと歩いてきて、やっと参拝出来る感じじゃないですか。でも車で行ったから、駐車場から行ったらもう、すぐ、あの大きな綱のある、本殿のところに来ちゃって、あれ??みたいな。横道みたいなところから入っちゃったみたいで、多分ご利益得れてないと思いますね。鳥取砂丘はめちゃくちゃ混んでて、車も停めれないくらいで、なかなか砂丘まで辿り着けなくて。砂丘、ぱって見て、「砂丘があるな」ってなって、帰りました。特にあっちまで歩くとかラクダに乗るとかやらなかったですね。砂漠だからラクダ乗れますよ、めっちゃかわいそうでした、ラクダ1頭しかいなくて、でもラクダに乗って写真撮りたい人はいっぱいいて。岡山はきびだんごを買いに寄っただけ。
旅行全然行かないですよ。時間がないわけじゃないけど、旅行に使うんだったら多分他のことするのに使う感じなのかもしれない。温泉も、普段から湯船浸からないから、まず自分で温泉行こうってならないですね。

夜行列車がメインだったんですよ。東京を夜に出発する、夜行列車に乗りたくて。夜行列車、面白いですよ。お部屋のタイプもいくつかあって、私が泊まったのは、もう、ベッド分のスペースしかない、ベッドサイズの部屋。もう寝て行くだけ、みたいな感じ。楽しいですよ。シャワー、チケットを買うんですよ、列車に乗ってるお湯の量が決まっているからそのチケットで何分浴びれるかが決まっていて。シャワーチャレンジしたかったんですけど、めんどくさくてやめました。ふふふ。旅の、移動時間に何するか、みたいなことを気にしたことがないかもしれない。あ、でも本読んだり、動画見たりしてます。酔いますよ、めっちゃ気持ち悪い。もう涙目で、ずっとあくびみたいな感じ。でも気にしない!

行動力しかないんですよ、行動力のみ。継続力とか忍耐とか、集中力とかもなくて。ないな、とは思うけど、でも別に欲してはいないです。いらないですね。

これ、持ってきました。あげます。ガチャポンが好きなんですよ。可愛くないですか?ミニチュアスナイパーっていう。駅とかにある、自販機みたいな感じのガチャポンわかります?あ、ガチャポンみたいな自販機か。そういうの好きなんですよね。家にこういうのがいっぱいあります。あと、クリオネの、何て言ったらいいんだろう、、、水族館にあるガチャポンでちょっと組み立てるタイプで、クリアな、プラスチックの素材のパーツがいくつか入ってて、それを組み立てるとお魚になったりするやつがあって。そのクリオネがダブってて、それもあげようかなと思ったんですけどそっちは忘れちゃった。

 

14:00/次のインタビューも控えているため、切り上げることにする。

「明日死ぬかもしれないから」ということを、私は普段から物事を判断する時に使う。「明日死ぬかもしれないけど、でも、死ぬとしたって池袋に行くのはめんどくさいからやめよ」くらいカジュアルに使う。生死について、頭の中にほとんどずっとある。極端にいうと私の目の前にその人がいる、という状況以外で「その人が生きている」ということを信じられない。LINEをしている時に特によくそう思う。
すみれちゃんの焦る思いはどこからくるのだろうか。なにかしなきゃ早くしなきゃ、という気持ちは終わりを想像しているからなのか、それともブラックホールみたいになにもかも見えない、ということなのだろうか。自分の最終形。普段からよく自分の終わりを想像する私は、「池袋に行く/行かない」という些細な行動さえも「明日自分が終わることについて」みたいな、ペラペラの生死の積み重ねをしているなといつも思う。自分の選択で今日も生きている。些細な、薄紙1枚をたくさん重ねる私に対して、すみれちゃんは1枚は、分厚いのかもしれない、頭の中で紙が重なっていくアニメみたいな想像が始まったところで、流石に自分でも混乱してきた。